「脳を守る」生活習慣(前編)~血管の健康と人とのつながりから

眩しい夏の日差しに、厳しい暑さが続く毎日です。皆様、いかがお過ごしでしょうか。こまめな水分補給と適切なエアコンの使用を心がけ、熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。

最近、初期のアルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)の原因物質を取り除く新しい抗体薬が登場したというニュースを耳にされた方も多いかもしれません。医療の進歩により、認知症に対する新しい治療の選択肢が広がっているのは大変喜ばしいことです。こうした新薬の登場は医療の大きな前進ですが、私たちがまず何よりも優先して取り組むべき基本は、日々の生活の中で「病気を未然に防ぐこと」です。

2024年に世界的に権威のある医学専門誌『Lancet(ランセット)』の委員会は、これまでの研究を分析し、「日頃の生活習慣を見直すことで、認知症の約45%は予防、あるいは発症を遅らせることができる」と報告しています。日々のちょっとした心がけが確かな予防につながるのです。

1. 健康な体づくりが、健康な脳の土台

血管を健康に保つことは、認知症予防の基本です。高血圧や糖尿病、肥満は気づかないうちに脳に大きな負担をかけています。日頃からバランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を習慣にしましょう。また、タバコを吸う方は禁煙に取り組み、お酒は「適量」を楽しむ程度にとどめることが、将来の脳を守る大きな盾となります。以前健康診断の大切さをとりあげました。定期的な健診で、血圧や悪玉コレステロール、血糖値の高値を指摘されたら放置せず、治療の必要性や日頃の注意点を医療機関で相談しましょう。これらは脳卒中や心臓病・慢性腎臓病の発症にも大きく関わっています。

2. 「人とのつながり」と「知的刺激」を大切に

年齢を重ねても家に閉じこもらず、地域の集まりに参加したり、趣味のサークルに入ったり、ご友人と交流したりするなど、社会とのつながり(孤立を防ぐこと)を持ち続けることが強く推奨されています。また、新しいことを学んだり、趣味を楽しんだりして頭を使うことは、脳のネットワークを強化し、若々しさを保つ助けになります。近所の人と挨拶をかわし、家族や友人と電話で笑いあうだけでも認知症予防につながります。   後編に続く 

(井上正純)

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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