「脳を守る」生活習慣(後編)~耳・目のケアと運動習慣で脳を元気に
前回は、血管の健康と人とのつながりが認知症予防の土台になるというお話をしました。今回は、意外と見落とされがちな「耳・目のケア」と、脳を元気に保つ「運動習慣」についてお伝えします。
3. 「耳」と「目」の健康を守る
意外かもしれませんが、「聞こえにくさ(難聴)」や「見えにくさ(視力低下)」を放置しておくことは、脳への刺激を減らし、認知機能に影響を与えることがわかっています。会話が聞き取りづらい、文字が見えにくいと感じたら、年齢のせいだと諦めずに早めに専門医を受診しましょう。ほっておくことで会話や外出を減らし、孤立や活動量低下につながりやすくなります。必要に応じて補聴器やメガネを使い、外界からの情報をしっかりと脳に届けることが予防になります。
4. 頭部の保護と運動習慣
転倒や交通事故などによる頭部のケガも、リスクを高める要因の一つです。自転車に乗る際のヘルメット着用や、家の中での転倒防止策など、頭を守る工夫を心がけましょう。そしてもう一つ、認知症予防で一貫して重要視されているのが運動です。運動は単に筋力を保つだけではありません。脳を元気に保つ物質が増え、神経どうしのつながりや学習・記憶に関わる脳の変化を強化・修復すると考えられています。運動により良質な睡眠が得られることで、睡眠中に活発に働く脳の老廃物排出システムが高まることも期待されます。
夏の間はエアコンのきいた室内での運動に切り替えることも考えましょう。涼しい時期は有酸素運動であるウオーキングがおすすめです。更に筋力トレーニングを加えると有効です。自宅でできる椅子の立ち座り・かかとあげ・壁腕立て・階段一段や丈夫な台の上り下りなど、工夫して取り入れてみましょう。ラジオ体操やテレビ体操、涼しいスーパーマーケットでショッピングしながら早歩きをしたり、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用したりするなど、生活にうまくとりいれましょう。座りっぱなしを避け、立ちあがってお茶を取りに行くなど積み重ねが大切です。掃除機がけや窓ふき、お風呂掃除などの家事を少し大げさに動いてやってみましょう。まとまった運動の時間が取れなくても、日常生活の中で身体をこまめに動かすことが、エネルギー消費につながります。病気で運動が制限されている方は医師と相談しましょう。
今日からできることを、少しずつ
認知症予防に「遅すぎる」ということはありません。今日から始められるちょっとした食事の工夫、夕涼みがてらの散歩、ご友人との楽しいおしゃべり。これら一つひとつの積み重ねが、健やかな未来の脳を育みます。
厳しい暑さが続きますが、こまめな水分補給などで体調に気をつけながら、ご自身のペースで無理なく健康的な生活習慣を取り入れていきましょう。
(井上正純)
0コメント