緩和ケアと地域コミュニティ 第2回:苦しみは「体」だけじゃない——支えてくれる人たちのこと


がんによる苦しみは、体の痛みだけではありません。

不安や不眠といったこころの苦しみには、薬に加えて、音楽やアロマといった環境の工夫も助けになります。看護師が培ってきたスキルを活かし、そばに寄り添い、じっくりと話を聴いてくれる存在も大きな力です。

また、がんをかかえることで人との関係に悩む方も多くいます。入院中に仕事を手放さざるを得なかったり、親としての役割を果たせずに家族に負担をかけてしまうことへの罪悪感——そんなときに、職場や家族が一緒に悩んでくれるだけで、当事者にとって大きな支えになります。

さらに、「なぜ自分がこんな目に遭うのか」「どうせ死ぬのなら、なぜ生まれてきたのか」といった、答えの出ない問いに苦しむこともあります。そうした場面では、臨床心理士や公認心理師はもちろん、臨床宗教家も大切な役割を担っています。

このように、がんとともに生きる人が直面する苦しみは「全人的」と表現されます。医療の専門家だけでなく、さまざまな立場の人がかかわっています。

たとえば——

社会福祉協議会・民生委員(行政の支援窓口として)

社会保険労務士(仕事と治療を両立させるために)

トータル・ライフ・コンサルタント(お金の不安に寄り添う)

弁護士・司法書士・行政書士(法律上の悩みを解決する)

NPO・ボランティア(住まいや終活・相続まで幅広く支援)

これだけ多くの人が、それぞれの形でがんの患者さんを支えているのです。

太田俊輔 記


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