緩和ケアと地域コミュニティ 第1回:緩和ケアって、どんなイメージですか?
現代の日本では、2人に1人が「がん」を経験し、4人に1人が「がん」で亡くなると言われています。
「緩和ケア」と聞いて、どんな場面を思い浮かべますか? 死が近づいた人が入院して、痛みに麻薬を使いながらも苦しんでいる姿——そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
ところが、緩和ケア科で実際に診療を続けてきた私の実感は少し違います。身体の痛みと同じくらい、あるいはそれ以上に、精神的な不安や家族・職場との関係といった悩みに苦しんでいる患者さんが少なくないのです。
では、緩和ケアが実際に目指していることは何でしょうか。それは一言でいえば、**「苦しい症状から解放されて、眠れたり、動けたり、自分らしく過ごせること」**です。
そしてその支援は、がんが見つかって告知を受けた瞬間から始まります。突然の宣告と押し寄せる不安の中で、治療方針を決めたり、家族に打ち明けたりすることは、想像以上に重い負担です。
痛みや吐き気、息苦しさといった身体の苦痛は、それまで当たり前だった日常生活を大きく制限します。「眠れる」「外に出られる」というささやかなことが、どれほど大切か——その支えとして、薬の果たす役割はとても大きいものです。特に内臓からくる痛みには医療用麻薬が高い効果を発揮し、緩和ケア医の腕の見せどころでもあります。
太田俊輔 記
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