お塩のおはなし 1

会社員の方々のことをサラリーマン(Salaryman;和製英語)と呼ぶのは皆さんご存じだと思います。では、なぜ塩の話と関係があるのでしょうか?

実は「サラリー(salary)」という言葉は、古代ローマ時代の「salarium」に由来すると言われています。「salarium」は塩(salt)と関係があり、兵士や役人への報酬の一種だったと考えられています。このことからも分かるように、塩は古代から私たちの生活に欠かせないものでした。


一方、現代では塩は高血圧の原因の一つとして悪者扱いされることが多いですが、私たち動物にとっては生命維持に不可欠なものです。では、塩の働きを見てみましょう。

1. 細胞を正常に保つ

私たちの体内では、ナトリウムイオンとして存在し、細胞内外の体液の圧力(浸透圧)を調整し、バランスを保っています。このバランスが崩れると、栄養素の吸収がうまくいかなくなり、血圧低下や脱水症状、立ち眩み、むくみなどを引き起こす可能性があります。

2. 神経や筋肉の働きを調整する

私たちが体を動かすとき、脳からの電気信号を神経細胞に伝えるのがナトリウムイオンの役割です。ナトリウムが不足すると、神経伝達がうまくいかなくなり、体調不良を引き起こすことがあります。例えば、夏の暑い日に激しい運動をすると足がつることがありますが、これは大量の汗とともにナトリウムが失われたために起こります。

3. 味覚や食欲の調整

適度な塩分は食欲を増進させ、味覚を正常に保つ役割があります。極端に塩分を制限すると、食事が味気なく感じられ、食欲が落ちることもあります。

このように、塩は私たちの体にとって重要な役割を担っています。しかし、過剰摂取は高血圧や心血管疾患のリスクを高めるため、適量を意識して摂取することが大切です。

(木村 晋三)

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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