大切な家族のためにできること - 身体・心・環境の視点から-2
前回は、年末年始の家族との再会をきっかけに、高齢者の方の変化について「体の機能」「心の状態」「周りの環境」という3つの視点からお話ししました。今回は、それらの変化にどのように向き合い、支援していけるのかについて、より具体的にご紹介していきたいと思います。
特に興味深いのは、これらの要素が組み合わさることで、より良い効果を生み出せるという点です。例えば、食事一つを取っても:
・「何を食べるか」(柔らかくて栄養バランスの良い食事)
・「どんな雰囲気で食べるか」(お祝いの場など楽しい雰囲気)
・「誰と食べるか」(大切な人との食事)
これらが揃うことで、食欲が増し、むせも減り、より良い食事時間を過ごせることがわかっています。
しかし、離れて暮らすご家族だけでは、このような総合的なサポートを提供するのは難しいものです。そこで活用していただきたいのが「地域包括ケアシステム」です。これは厚生労働省が推進している仕組みで、4つの支援の形があります:
・自助:ご本人による健康管理
・互助:地域の住民による支え合い
・共助:介護保険サービスの利用
・公助:行政による高齢者福祉サービス
これらのサービスの窓口となるのが地域包括支援センターですが、最も大切なのは「ご本人とご家族の意向」です。様々な支援やサービスは外部から提供できますが、「どのように生きていきたいか」という選択は、ご本人とご家族にしかできないものなのです。
現代の超高齢社会で特に重要となっているのが、この「意思決定」についての支援です。例えば、もし大切な方が食事を取れなくなった時、どうしたいのか。このような話題は「縁起でもない」と避けられがちです。また、日本人特有の「慎ましさ」から、ご本人が「こうして欲しい」と言い出しにくいこともあります。支援する側も「余計なことを聞いて申し訳ない」と躊躇してしまうかもしれません。
でも、人生の最期について考えることは、決して縁起の悪いことではありません。むしろ、大切な人への思いやりを形にすることなのです。
このお正月の気づきをきっかけに、ご家族で将来について話し合ってみませんか?
可能であれば、ご本人と直接お話しすることをお勧めします。もしそれが難しい場合は、ご家族や支援者の間で:
・その方のこれまでの人生での大切なエピソード
・好きなことや嫌いなこと
・これまでの重要な決断の際の考え方
などを共有することも、とても意味のあることです。
人生の最期をどう迎えるかは、その人らしさを最後まで大切にする重要な選択です。今この時から、少しずつ考え、話し合っていきましょう。
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