③ 動脈硬化の危険因子

高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性腎臓病・喫煙は動脈硬化を進めます。骨粗鬆症や睡眠時無呼吸症候群も危険因子とされています。歯周病も悪化の要因になるとの報告もあります。腸内細菌と動脈硬化が関わっている可能性も示されています。危険因子の重複は偶発的なものでなく、共通の病態をもち動脈硬化の発症に関与するとされ、メタボリック症候群と呼ばれます。動脈硬化は進行しても自覚症状がないことが多く、放置することにより、狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞など血管病の引き金となるため、サイレントキラーと呼ばれます。 サイレントキラーの存在を知るきっかけの一つが健康診断です。動脈硬化性疾患発症予測ツールに、日本動脈硬化学会による「これりすくん」という一般の方向けアプリがあります。医療機関では病態に応じ、様々な検査で動脈硬化を観察します。体の外から観察する検査に、頸動脈超音波・眼底検査・CT・MRIがあります。動脈硬化による病気を起こした後などでは、カテーテルを血管に挿入し、造影剤を注入しX線で撮影したり、血管内超音波で観察したりします。血流や血管の硬さを調べる検査に、腕と足の血圧比をみるABIや、脈の速度をみるbaPWV(脈波伝播速度検査)、超音波を用いるFMD検査があります。 (井上正純)

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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