② アテローム性動脈硬化とは
アテローム性動脈硬化は、心臓の冠動脈や脳の動脈など主要な臓器の動脈におこります。動脈には心臓の収縮に伴う圧力に耐えるため動脈壁(内膜・中膜・外膜)が存在します。内膜の表面は内皮細胞で覆われています。血圧の上昇や加齢など何らかの原因で内皮細胞が傷つくと、血液中の悪玉のLDL コレステロールが内皮の裏側に入り込んで動脈硬化が始まります。
アテローム性動脈硬化は、体の中で持続的におこる「慢性炎症反応」により進行が加速することがわかってきました。慢性炎症の引き金の一つが、過剰な内臓脂肪です。内臓脂肪が多いと脂肪細胞が膨れ、炎症性物質が多く放出され、慢性炎症をおこします。脂肪組織は免疫細胞が存在する場です。免疫力の低下にもつながります。慢性炎症としての動脈硬化に、免疫の関与が示唆されています。また動脈硬化とがんには、慢性炎症という共通の基盤があり、互いに影響し合っているのではないかと考えられています。 (井上正純)
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