癌の予防について

今回は「がん」の予防についてお話ししたいと思います。 まず、なぜ「がん」ができるのでしょうか?  がんは、体の細胞の遺伝子が変化することによって起こります。遺伝子が変化する原因は、発がん物質や放射線、感染など様々ですが、その中で意外と大きなウエイトを占めるのが生活習慣です。生活習慣病というと、糖尿病、高血圧やメタボ、そしてそれらによって引き起こされる心筋梗塞や脳卒中といった病気を思い浮かべるかもしれませんが、実はがんの発症にも「タバコ」「食事」「運動不足」の3つの生活習慣が原因の65%を占めているということがわかりました。(米国ハーバード大学の研究報告より)日本における調査では、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%が生活習慣や感染症が原因だとされています。

タバコは肺がんだけでなく、食道、胃、大腸、膵臓などの消化器のがん、それから乳がん、膀胱がんのリスクを高めます。


アルコールは食道がんや大腸がんのリスクとなり、塩分が多いと胃がんが増え、熱いものを多く食べると食道がんになる可能性が高まります。一方、野菜や果物を多く食べるとがんのリスクを減らします。身体の活動性が高いとがんになりにくいことも分かっています。


また肥満も痩せすぎもがんのリスクを高くなります。 ウイルスや細菌感染もがんの原因のひとつです。 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは肝臓がん、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がん、そしてヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんと関係しています。白血病や悪性リンパ腫の中にもウイルス感染と関係しているものがあります


禁煙することが大事です。そして、アルコールは控えめにして、塩分を減らし、熱いものは冷ましてから食べる、野菜や果物を積極的に摂るなど、食生活を見直してください。できるだけ活動的に、体を動かすように心がけましょう。また、やせすぎず、太りすぎず適正体重を維持するようにしてください。


ウイルス感染も原因のひとつです。はワクチンで予防できるものもあります。特に子宮頸がんはワクチン接種で予防できますので若いうちに接種することがよいでしょう。肝炎については最近、効果の高い飲み薬も登場していますので、かかりつけの医師と相談してください。


これらの生活習慣の改善によって、男性では43%、女性では37%がんになるリスクが減ることが明らかになっています。つまり、生活習慣を改善することによって、がんの発生を4割減らすことができるということです。癌の予防にまず、生活習慣を見直してみませんか? 

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

かかりつけ医の集まりである内科医会から市民の皆様へ健康情報をお届けするサイトです