腎臓を守る秘訣は? その2
外山 では,他のパネリストの方のお話をうかがって,コメントのある方はいらっしゃいますか.
藤澤 水分を控えたほうがいいときと,増やしたほうがいいときというのは,一般の方にはどのように区別したらいいのでしょう?
守山 よくいただくご質問として,夏に汗をかいたときにどうするかということとからめて,水分,塩分についてお話しします.まず水分は,心臓が悪くなければ制限は基本的に必要ありません.よく腎臓病になったらおしっこが出ないといいますが,おしっこが出なくなる腎臓の病気はごく一部の特殊なもの以外はありません.
慢性腎不全でゆるやかに透析に向かっていく患者さんたちは,透析日が直前になってもおしっこはたっぷり出ます.むしろ蛇口が壊れています.だから脱水気味になったときにも蛇口を閉められないから,どんどん体から水が出ていってしまうことすら起きます.健常ならば水を飲まなかったらおしっこはぐっと減ります.これを濃縮尿といいますが,腎不全になると濃縮尿がつくれなくなるので,どんどん体のなかの水が失われて,結果,腎臓が悪くなります.
では,むくみとの関係はどうでしょうか.腎臓の病気で浮腫,特に足,顔がむくむことがあります.患者さん自身は気にされますが,医学的にはあまり問題はありません.尿に蛋白がたくさんおりる状態のときは困りますが,それは専門医が診る特殊な病気なのでおいておきます.あとは塩分をとり過ぎるとむくむことがあるので,塩分は控えたほうがいいです.しかし,お水だけでむくむということはあまりないです.
クレアチニンが6ぐらいで頑張っていた患者さんが,突然9になって,どうしたのかとうかがったら,最近むくんだので水を飲むのをやめたということです.それまで2ℓ飲んでいた水を500ccにしたということです.そうしたら,1ヵ月で透析になってしまいます.ですから,そういうことすらあるので,単純に「むくみがあるから」と自己判断で水を飲むことをやめたりはしないでいただきたいと思います.
では,どのぐらいお水を飲んだらいいかという目安は,おしっこの量でみます.1ℓもしくは1.5ℓ,場合によっては気持ちよく2ℓぐらい出ている状態に体のなかを満たしておくといい感じになります.汗をかいたときは当然おしっこの量が減るから,お水は補ってもらうのがいいわけです.汗1ℓのなかに3gの塩分が入っているので,汗をだらだらかいたら,その分は塩分を上乗せして摂取しても体のバランスはとれると思います.
外山 では,ここまでを福田会長にまとめていただこうと思います.
福田 腎臓が悪いといっても,その程度によって全然違います.たとえばカリウムは腎臓の検査値が少し異常といわれた程度ではあまり気にしなくてもいいと思いますが,かなり悪くなってからとり過ぎると,血液中のカリウム値が上がり不整脈を起こして非常に危ない状態になるので,そこは気をつけないといけません.
また腎臓だけでなく,高血圧,糖尿病をもっていて腎臓が悪くなっている場合はそちらのほうの治療も考えて,糖質をとり過ぎないようにします.逆に腎臓が悪くなってくると糖質を少し多くとるので,一概にはいえないところが非常に難しいと思いますが,それは今の自分の腎臓の状態に合わせて,どの食事が一番いいのか,かかりつけ医の先生にご相談いただくのがいいと思います.
外山 「今の自分の状態で」という言葉が出ました.インターネットは決して今の自分の状態でどうかということは教えてくれません.やはりかかりつけのお医者さんが一番ということかと思います.
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