腎臓を守る秘訣は? その3

日頃 よく患者さんからご質問をいただく事柄について紹介いたしましょう

①「夏,大量に汗をかいたときは少し塩分制限をゆるめてもよいでしょうか」
 守山 汗のなかにはたくさん塩分が出ています.汗に出ない場合は,おしっこに出ます.便にはあまり出なくて,おしっこか汗に塩分は出ます.とった塩分をおしっこでだせば,それを押し出すために血圧を上げるという面があります.それは腎臓にも負担をかけるし,全身にも負担をかけます.そういう観点から塩分は控えようといっているので,汗のほうに出ていっている塩分はそこにはカウントしなくていいです.
 したがって,汗をかいたら喉が渇いて塩辛いものが欲しくなりますが,それは生理的にもそういうことを意味しているので,たとえば南高梅の梅干し1個ぐらいはいいです.塩分は1gぐらいでしょうか.南高梅にはいろいろいい成分も入っているので,私はおすすめしています.夏場,汗が出たら塩分もちょっととっていいですし,水もそれを補うだけとってくださいというのが私のおすすめです.
 泉岡 メディアなどでも夏に塩分をとったほうがよいといわれます.夏だから塩分をとらなければいけないと思っている方がおられますが,つまりは汗をかくので塩分をとったほうがよいということですね.
 守山 そういうことです.汗をかかなかったら,塩分は別にとる必要はないです.
 外山 「補う」というのがキーワードです.熱中症対策でエアコンのきいた部屋でテレビをぼーっとみている方は,補う必要がないのかもしれないです(笑).


②「糖尿病で腎臓病と言われたときはどうすれば良いでしょうか」
 藤澤 まず糖尿病をもっていると腎臓を傷めます.糖尿病性腎症という名前で知られています.透析を始める方の約45%,つまり半数近くは糖尿病性腎症が原因です.逆に,腎臓が傷んでくると,糖尿病になりやすいかということについては一般的には考えなくていいと思います.
 糖尿病をおもちの方は,日頃は炭水化物をあまりとらないほうがいいと思われます.難しいのは,糖尿病をもっていて腎症が進んできて,腎臓がかたくなってきたときは,先生がなぜかあめなど,甘いものを食べなさいといいます.今までだめだといわれていたものを摂りなさいといわれて,考え方を変えなくてはいけないので患者さんがとても困惑されることがあります.
 すなわち,糖尿病と腎臓病を同時にもったときは,病状がかなり進んだ人と進んでいない人とで大きく異なり,人によって食べ物や運動の話が全然変わってきますので,素人判断は危険です.ではどうすればいいのかというと,信頼できる,自分のことをわかっているお医者さんに「私はどうしたらいいの」と聞くことが大切で,決してインターネットに聞いてはいけません(笑).
 外山 だんだんネットが悪者になりつつありますが…,次に進ませていただきます.


③「病気全般の初期症状と気をつけなければいけないことはなんでしょう」
 近藤 初期症状としては,自覚症状がないのでなかなか難しいです.むくみ,貧血などがありますが,そうなる前に定期的な血液検査をかかりつけ医で行って,データをとっておいていただくのが一番かと思います.
 また,先ほども申し上げましたが,バファリン,ロキソニン,ボルタレン,カロナール,ポンタールといった痛み止めを飲み過ぎないことです.今ではバファリンやロキソニンは一般用医薬品として自己判断で購入することもできますが,一番怖いのが飲み過ぎることです.病院で処方された頓服薬でも,自己判断で1日何回も飲んだり,痛いからといって飲み過ぎたりしないように十分気をつけていただきたいと思います.
 また,一般に漢方薬は安全と思われていますが,漢方薬の風邪薬などに含まれているカンゾウ(甘草)の主成分であるグリチルリチン酸は,水分を体にため込む作用があるので,これは腎臓にはあまりよくありません.漢方薬を買われるときには注意していただきたいです.また,胃薬のなかにも炭酸水素ナトリウムが入っている胃薬があります.こちらはナトリウムが少量入っています.ふだんの生活でそんなに大きな影響はないですが,気をつけていただきたいものになります.
 また,腎臓に直接関係のないような薬でも,長年飲むことで影響がでてくることもあります.高齢になると腎機能が低下し,体から排泄されずにたまるようになります.その結果,副作用や中毒症状が出やすくなってしまいます.お薬を長年ずっと飲んでいらっしゃる方で,もし気になることがあれば,かかりつけ医の先生やかかりつけ薬剤師に相談していただきたいと思います.
 

④「私は定年後の高齢者です。 もう年なので食事が楽しみたいのですが、日常生活をどう過ごせばよろしいでしょうか?」
外山 この質問者は食事が楽しみなので,医者にいうとあれだめこれだめといわれるから,どうやって医者と交渉しようかと思われているかもしれませんが,かかりつけ医の立場から泉岡先生はいかがでしょうか.
 泉岡 定年後の高齢者で食事が楽しみだといわれる方は多くいらっしゃいます.たとえば糖尿病とCKDでコレステロールも高いし,高血圧もあるという方は結構いらっしゃって,私は何も食べるものがないとおっしゃる方も少なくありません.ただ,病態によって制限の度合いが違うということと,ライフスタイルのなかで何を大事にしているかが重要です.
 たとえば甘いものがどうしても好きという場合,これはゆずれるけれども,これはゆずれないなど,個々によって違うと思いますので,そのあたりをかかりつけ医に相談してください.夕食後にテレビをみながら甘いものを食べるよりは,朝や昼の時間帯で食べたほうが良いので,食べるタイミングの工夫も重要です.皆さんの個々の好みによって,たとえばアルコールはやめろといわれてもさほど負担ではないが,甘いものはどうしてもやめられないとか,逆に甘いものはやめられるが,アルコールはやめられないなどいろいろあるかと思います.ライフスタイルに合った形で,かつ,その方の病態の優先順位に応じて,かかりつけ医の先生に相談していただくのがよいと思います.
 逆にいうと,そういうことをいっていただきたいですね.医者側がこれはだめ,あれもこれもやめなさいというと,私はもう生きていけないと思われるかもしれませんが,そうではなくて,私はこれだけは食べたい,これだけはどうしてもゆずれないといっていただくことによって,主治医と患者さんとの関係もうまくいくと思います.いっていただかないとわからないことも多いので,そのあたりの関係をよりよく築くことが大切だと思います.皆さんが我慢をしないといけないと思われていることが,実はそれほどでもなかったりすることもあるので,ぜひおっしゃっていただきたいと思います.

大阪府内科医会のお医者さんのBLOG

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