「いつまでもイキイキ脳」③認知症への地域での取り組みについて

中尾 医師会では,なんでも相談できるかかりつけの先生を持っていただきましょうということをお勧めしています.その中には認知症も含まれます. 皆さんはオレンジチームという愛称の「認知症初期集中支援チーム」をご存じでしょうか? 

大阪市では平成26年にスタートしていますが,まだ一般には知られていません. このチームは認知症の方を容態に応じて適切な医療や介護につなげることを目的としています.認知症で家に閉じこもり社会との関係が途絶しているような方々に関して,どのようにして認知症の医療を提供し,ご家族も含め介護サービスを受けていただくようにするのか? 地域包括支援センターを窓口として、 看護師、保健師、作業療法士や介護福祉職の社会福祉士とがチームとなり、お家に訪問して支援します.もちろんこの活動には医師も関わっています


このチームに相談したり紹介する経緯です

家族の方がチームに相談に行くことが多いとデータ上は出ています.かかりつけの先生は64件と少なめに見えますが,患者さん本人あるいは家族がかかりつけ医の先生に相談して「初期集中支援チームにつなげてもらったらいかがですか」等のアドバイスを受けて,家族の方々が行かれている流れではないかと思います.近隣住民の方々からも一定の数があります.病院からという数字がちょっと寂しいですが,ご本人から「私ちょっと」と言うのもなかなか難しいということになっているのだと思います.

チームが訪問してから7年でどのような効果があったのか.大阪市での実績です


要介護認定を申請すれば要支援1から要介護5に認定されることになりますが,介護認定を受けないことには介護サービスは受けることができません.最初に介入したときは未申請の方が多かったのが,介入して大体6ヵ月と言われている支援終了後には2000人の方が申請しました.そして要介護認定を受けて,ケアマネジャーさんがプランを立てて適切な介護サービスをやっていく方向性に来ています.すなわち,チームが活動することによって,適切な介護サービスが入っていく流れになっていきます.


支援開始時にチームの関わりを拒否する人が27.9%.「大きなお世話や.何しに来たんや」と言って全然会いもしない方々です.それで,ご家族やかかりつけの先生の説得もあって,「じゃあお願いします」というのが大体70%と言われています


その後,介護保険サービスが入りますので,ケアマネ,地域包括への引継ぎが大半を占めて,そして医療もつながっていきます.

支援終了後に在宅生活を継続できた人は86.7%です.これは非常に大きなデータだと思います.大阪市内は独居の高齢者の方々が非常に増えているし,高齢者同士の世帯も増えており,認知症が進んでいく状況を踏まえると,ひとり暮らしはなかなか難しい状態になると思います.そこでチームが介入することによって,最終的にはどうなるかわかりませんが,86.7%の方々が住みなれた街で皆さん方と一緒に暮らしていけるというデータが出ています.


地域包括支援センターは平成18年からできていますが,まだあまり知らない方もおられると思います.本日はその中にあるこの認知症初期集中支援チームを覚えて帰っていただいて,近所の方の行動がいつもと違うなと思われたときには,支援チームに相談してください.そうすることによって,住みなれたところで暮らすことができると思っていただければいいかと思います.


外山 ありがとうございました.認知症初期集中支援チームにつながるには,かかりつけ医を通じての道筋があるということですが,かかりつけ医の立場から黒川先生,いかがでしょうか.

黒川 自治体によって多少形は違っておりますが,大阪府の場合はどの地域にもこういう支援システムがあり,かかりつけ医は何らかの形でそれにかかわっている方が多いです.介護保険の認定審査を受けるためにはかかりつけ医の意見書が必要ですので,必ず介護保険にはかかりつけ医がかかわります.かかりつけ医は,地域包括支援センターや支援チーム,あるいはケアマネなどと面識があったり一緒に活動している方が多く,地域包括支援センターのシステムをよく知っている方が多いです


皆さんが直接ケアマネさんを知っておられればそれでも構いませんが,ふだん血圧などでかかっている先生に相談していただくと,話に乗ってくれる先生もたくさんおりますので,ぜひかかりつけ医を使っていただければと思います.

外山 では福田会長,いかがでしょうか.


福田 いま中尾先生からは特に大阪市の取り組みについてお話しいただきましたが,これは大阪市だけではなく各地域で同じようなことをやっておられるということです.ですから,お住まいの市にまたお問い合わせいただいたらいいかと思います.行政も含めて認知症について支援を行っているネットワークです.


また,我々医師会のかかりつけ医の中でも,特に認知症について講習を受けて,各地区での認知症支援の核となる認知症サポート医として,何人かの先生が活動していますので,その先生に相談するということもやっております.私たちも地域全体で認知症に対して取り組んでいきたいと思っておりますので,ぜひお住まいの区役所や市役所,地域包括支援センターにお問い合わせ下さい.



大阪府内科医会のお医者さんのBLOG

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