1回:疲れやすさの正体――「隠れ貧血」にご用心
貧血というと「血が薄い」「ヘモグロビンが低い」というイメージがありますが、実は血液検査で貧血がなくても、体の中の鉄が不足している状態は少なくありません。この段階を「鉄欠乏性貧血の手前」、つまり“隠れ貧血”と呼びます。
鉄は、赤血球の中で酸素を運ぶヘモグロビンを作る大切な栄養素です。不足すると全身に酸素が届きにくくなり、体は常に“酸欠”状態に。その結果、
・疲れやすい
・息切れ、動悸、めまい
・抜け毛、爪の変形
・イライラや集中力の低下
など、さまざまな症状が現れます。
特に注意が必要なのは、月経のある女性やダイエット中の方、胃の手術後の方、胃酸を抑える薬を長期服用している方です。
また高齢の方では、食事量の減少や消化吸収の低下が原因となることもあります。
隠れ貧血は、血液検査で「フェリチン(貯蔵鉄)」を測定すると分かります。
ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低い場合は、鉄の蓄えが不足しているサインです。
「なんとなく体調がすぐれない」と感じるとき、隠れ貧血を疑ってみることは、元気を取り戻す第一歩かもしれません。
(記 藤田聖子)
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