麻疹(はしか)について その1

感染の現状と注意点

今年の春より大阪万博が開幕し、関西が盛り上がっている一方で、麻疹についてのニュースも多く報道されるようになりました。今回は麻疹についてお話しします。

 麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。このウイルスの感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへと感染が伝播し、その感染力は非常に強いといわれています。特に空気感染は厄介で、同じ空間にいるだけで感染してしまいます。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症しますが、一度感染して発症すると、一生免疫が持続するとも言われています。

 麻疹の発生状況ですが、2018年には279件(うち大阪15件)、2019年には744件(うち大阪149件)と増加傾向でしたが、それ以降はコロナ禍の影響もあり、50件未満にとどまっています。しかしながら、本年度は4月16日時点で78件と再び増加傾向となっており、大阪は全国最多の11件です。また年齢別でみると、最も多いのは20代で38%、次いで30代が18%、40代が15%と、むしろ小児よりも成人の報告が多くなっています。

 麻疹ウイルスの遺伝型については、日本土着株であった「D5」は、2015年3月に麻疹排除国として認定されて以降、検出されていません。それ以降は海外株による感染が報告されています。現在、東南アジア地域や南アジア地域で流行がみられており、感染者の多くが東南アジア渡航歴を有していますが、渡航歴のない方の報告も散見されるようになりました。日本国内でも感染が広がりつつあると考えられます。


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