お薬の話 2

ひと言で お薬と言っても色々なものがありますね

医師から処方される薬は、大きく分けて二種類あります。

1)症状を和らげるお薬

一つは風邪薬のような、症状を改善するための薬です。この薬は、咳や鼻水などのつらい症状を和らげるために使われます。ですから、症状がなくなれば、いつ止めても構いません。頭痛や腹痛などの薬もこの仲間といえます。基本は、症状がある時に、その症状に対して効果のある薬を、必要なだけ服用するのが、正しい使い方になります。

2)将来の障害を予防するお薬

もう一つは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病といわれる病気などに使われる薬です。これらの病気にはもともとつらい症状はありません。病気が良くなっても、悪くなっても何も感じないことが多いです。しかし病状が進行すると、全身の血管の老化が進んで、脳卒中や心筋梗塞などの、命に関わる大きな病気を発症する危険性がとても高くなります。悪玉コレステロールや中性脂肪が多くなる脂質異常症や、尿酸が多くなる高尿酸血症も同様です。

どちらも大切な役割があるんですね

これらの病気に使われる薬は、血圧や血糖などを改善することで、将来の大変な病気を予防するために用います。はじめから症状がありませんので、薬を飲んでも全く良くなった感覚はありません。いつまで飲めばいいのかという気持ちになるのも当然です。服薬を続けるためには、定期的な通院も必要ですし、お金もかかります。もうやめてもいいのではないかと思うのもわかります。

 

しかしこれらの薬を飲み続けるのには、大きな理由があるのです。残念ながら現在の医学では、高血圧や糖尿病などの原因を根本的に治すことのできる薬はまだありません。薬を服用することで、その日1日の血圧や血糖値を安全な状態に保つことができるだけです。これらの薬は現在ではなく、未来のためのものなのです。生活習慣病といわれる病気は一言でいうと、他の人より早く老けていく病気です。老化が早くなるために、いろいろな合併症といわれる病気が起こります。人は一度老化すると元には戻れません。生活習慣病に使われる薬は、老化が進んで困らないように今から行なう老化予防のための対策と考えてください。

 

また、これらの薬は、病気の状態に応じて、薬の内容や量を変更することも多く、常に見直しが必要です。そのためには定期的に診察や検査を受けていただくことが大切です。同じ薬を漫然と使い続けるということは決して良くはありません。一般的に治療は長期間にわたることが多くなりますが、これは、将来の生活が困らないように契約し、適時見直しを行なう生命保険のようなものと考えてもいいでしょう。

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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