食欲の秋! 腹八分目に医者いらず 

猛暑の夏も終わりを告げ、少しずつ秋めいてきました。 秋と言えば、新米や果物などいろいろと旬の食材が登場する季節、そう食欲の秋ですね!


この秋にぴったりのことわざがあります。それは「腹八分目に医者いらず」です。 江戸時代の有名な貝原益軒先生の養生訓にも書かれていますが、今年の日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド2020-2021」の食事療法の項にも食事療法ポイントとして「腹八分目とする」と書かれており、古くて新しい健康法と言えます。 ただこれを実践するのは難しいですね そもそも満腹感を感じるメカニズムは複雑ですが、主に食べ物で胃の中がいっぱいになると、胃壁が膨らみ、その刺激が迷走神経を通じて脳に伝わり満腹感が得られるのです。 しかし早食いをしてしまうと、満腹感を感じる前にどんどん食事を取り過ぎてしまいます。 食事をゆっくりすること、そのためにはゆっくりよく噛む(一口 30回くらい)ということ大切になってきます。腹八分目にするということは、ゆっくり噛んで食べるということです。

腹八分目、ゆっくり食べることが何故健康法なのでしょうか? それは食後の血糖値の上昇を抑えるということです。 健康な人の場合、血糖値は空腹な状態では100mg/dL以下であり、食後2時間でも140mg/dL以上にはあがりません。運動不足や食べ過ぎなど生活が乱れると食後の血糖値が140mg/dLを越えるようになります。これを「食後高血糖」や血糖スパイクと呼び、糖尿病予備群や初期の糖尿病の状態です。 この食後高血糖があると血管が硬くなる動脈硬化が起こり心筋梗塞などが増えます。ゆっくりとよく噛んで食べる習慣は、腹八分目の状態でも満足し食後高血糖を避け、このような動脈硬化を予防にもつながるのです。 

ところで、私は昔からお百姓さんのことを考えるとコメ一粒たりとも無駄にしてはいけないとも教えられ、残すともったいないという思いでついつい食べすぎてしまう古い世代です。 よく街などで見かける「食べ放題」は危険、君子危うきに近寄らずです。 誰でも「食べ放題」となると、つい食べ過ぎてしまうでしょうし、きっと腹八分目で止めにくくなります。 その結果、そう食後高血糖に繋がってしまいます。 最近は世界的にもフードロスが大きな問題となっており、この「食べ放題」は、健康習慣にも逆行するので「なんとかしないと・・・・・」と考える今日この頃です。   

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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