食中毒! 鳥刺し・生レバーにご注意

新型コロナウイルス感染症の対策で手洗いが習慣になり、今年のウイルス性胃腸炎の患者さんは非常に少ない感じがします。 でも下痢や腹痛で来られる患者さんは絶えません。その原因は食中毒です。一般に食中毒というのは多人数が発生するとニュースになりますが、単発の発生ではあまり表に出ず知られないことが多いです。

食中毒の中で一番多いのがカンピロバクターという菌によっておこる腸炎です。その症状としては、強烈な下痢・腹痛、38.0〜39.0℃の高熱を伴い、時に菌血症を起こして命に関わる場合もあります。

症状がでるのが食べてから2~7日間とやや長いため、1週間前の食事内容を振り返る必要があります。また稀に感染後2〜3週間後に、手足のしびれや呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」という神経の病気を発症することがあり、早期に診断し、的確な治療が必要です。


原因となる食材は、“鳥刺し・生レバー”が多く、不衛生な調理による二次汚染もあるようです。厚生労働省のデータによると、専門の食肉処理施設で出荷された鶏肉の汚染率は65.8~85.5% (厚生労働省研究報告2002年)というデータが示されています。「新鮮だから安全」ではありません。2012年に牛レバーを生食用として販売することが禁止されましたが、その頃から鳥刺し、鳥たたきなど鶏肉による食中毒が多くなってきた感じがします。接待やつきあいで鳥刺しなど食する機会が多いビジネスマンが来院される消化器内科の専門クリニックでは、一年を通して週に2〜3人、年間約120人、特に4月・12月の宴会シーズン、夏場の“鳥刺しの旬”の時季に多いようです。 

予防策としては、生や十分に加熱されていない鶏肉を食べないようにしましょう。細菌やウイルスは加熱により死滅しますので、よく加熱(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)して食べましょう。

特にお子さんやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、注意が必要です。

私も鶏肉料理は大好きですが、生肉は絶対に食べません。焼いても鶏肉は美味しいですよ!

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