【第2回】健診結果を読み解く〜脂質・肝機能・貧血編〜

前回は血圧・血糖値についてお話ししました。今回は脂質・肝機能・貧血の3項目です。


③ 脂質:LDLコレステロール 140mg/dL以上

日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』では、動脈硬化の最大の原因因子であるLDL(いわゆる「悪玉コレステロール」)が140mg/dL以上で脂質異常症と診断されます。LDL値が高いほど冠動脈疾患(心筋梗塞など)の発症率が高まることが証明されています。

ただし、140以上だからといって即お薬、というわけではありません。

家族性高コレステロール血症・心筋梗塞・狭心症・動脈硬化による脳梗塞・血管合併症や喫煙のある糖尿病・慢性腎臓病・末梢動脈疾患がある方は早期の薬物治療を検討すべきですが、そうでない方は年齢・性別・喫煙・糖尿病・高血圧などのリスク因子を合わせた「絶対リスク」の評価によって治療目標・治療内容が変わります。

LDL値が140以上であれば、一度かかりつけ医に「動脈硬化のリスク評価」をご相談ください。


 ④ 肝機能:ALT(GPT)>30で炎症が始まっている

受診勧奨の基準は50以上ですが、ALTが30を超えると、実はすでに肝臓に炎症が始まっています。

近年、生活習慣病を背景とした脂肪肝や多量飲酒による慢性肝臓病が増加しています。多量飲酒とは、男性で1日60g以上(ビール500ml缶3本・日本酒3合・ウイスキーダブル3杯に相当)、女性はその2/3が目安です。

ALT>30の肝組織では、ほとんどの場合に炎症が認められると言われています。この炎症が長期間続くと肝臓が線維化し、肝硬変や肝がんの原因になります。日本肝臓学会は2023年に、健診でALT>30であればかかりつけ医への受診を勧める「奈良宣言2023」を発表しています。  肝臓は「沈黙の臓器」です。早めにご相談ください。

⑤ 貧血:ヘモグロビン値(男性12.0・女性11.0g/dL未満)

貧血は病名ではなく、何らかの疾患による「結果」です。

成人の貧血で最も多いのは鉄欠乏性貧血です。閉経前の女性では月経や子宮筋腫が原因となることが多いですが、慢性腎臓病・関節リウマチ・血液腫瘍などが見つかることもあります。さらに男性や閉経後の女性では、消化管からの慢性的な出血(胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がんなど)の可能性があります。

「いつものことだから」「鉄分を摂れば治る」と自己判断せず、胃透視・便潜血検査(可能であれば胃・大腸内視鏡検査)を組み合わせることが、がんの早期発見につながります。

貧血を放置することは、他の病気やがんを見逃す大きなリスクとなります。

次回は「腎機能」と、健診結果をかかりつけ医に最大限活用してもらうためのアドバイスをお届けします!

(木村 新)

大阪府内科医会 お医者さんのブログ

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